2 0 0 9 夏 の 野 麦 子 ど も 自 然 体 験 村
2009.7.19-8.1
「エルニーニョのバカヤロー〜!」と叫びたいところですが、相手は「神の子」、自然の「意志」には勝てません。
というわけで、今年の夏の野麦キャンプは見事に雨に降り込められました。それでも、日食が見られたのは「神は私たちを見捨てていなかった?」
不景気、天候不順と悪条件の下したが、参加者の子どもたちのパワーとスタッフ(元気な高校生のボランティアスタッフと年甲斐もなく張り切ってしまった高齢者スタッフと講師)の熱い思いに支えられて今年も2週間を自然体験キャンプを立派に全うしました。
ことしのキャンプの特徴:@雨で川が増水、まともな川遊びができなかった。例年はシャビシャビのキャンプ場の川(源流の川!)も水量が多く、魚が泳ぐのが見えても捕まらない。おかげでイワナ、アマゴ(放流もの)、サンショウオの収獲ゼロ(夏の野麦史上初)。雨の中の野天風呂川遊びでの鉄砲水−あっという間に水が出て、みるみるうちに水が引いた−を目の当たりにした(恐ろしい!)、後で聞いたら上流のダムの放水だそうな。その後、落ち葉と泥が大量に流れ込んだ野天風呂で泥臭い湯を満喫できたのは二度と味わえない体験でした。A雨プロ(雨天時の室内プログラム)に苦労しました。それでも、途中から合流した野麦キャンプの「黄門様」と「じい」(梶さんと堀部さん)のもち技にはずいぶん助けられました。とりわけ、アートクラフト教室。木の枝や落ち葉をはりつけて思い思いの額絵を作りましたが、堀部さんの玄人はだしのタッチが入り「私の絵じゃない」という子どもも。B雨でも生き物は生き生きと活動しています。クワガタがいっぱいとれましたし、泥トラップで、野生動物(キツネ、タヌキ、リス)の足跡がとれました。仕上げは生キツネ観察(「ナイトサファリ」)。夕闇迫るライトバンの中で待つこと40分(話をせずにじっとしていること、子どもたちにはこれが大変)、諦めて車のエンジンをかけた瞬間、タヌキが飛び出してきました。一瞬の出来事で見逃した子どももいましたが、感動!「野生動物に出会える梶さん」の伝説は健在でした。C夏の野麦名物、野麦峠への「ロングナイトウォーク」。毎日のようにやってくる夜の雨で実施が危ぶまれました(GOサインを出したとたん強い雨が降り出し取り止めた日もありました)が、降雨の心配の中で決行。全員がライトもつけず、話もせず歩き続けました。そして、1人をのぞいて見事ゴール!ご褒美は峠の自販機のジュース、ではなく途中道路わきの斜面で見た「地上の星」蛍のまたたきでした。D残念ながら、今回の乗鞍登山は避難小屋での1泊はできず(その代わりといっては何ですが、キャンプ場でテント泊しました。野宿した子どももいました)、日帰り登山を試みました。日帰り登山といっても道はぬかるみ、登山道は刈払いが入っておらず、ササを掻き分け、足を滑らしながらの厳しいものでした。登山になれていない子どもや体力ののない子どものいましたが、ひとりひとりのがんばりとお互いの励ましで全員奥千町に避難小屋まで登りきりました。雲の中の奥千町湿原は天上の楽園。子どもたちははだしで木道のうえを走りまわっていました。そして肝心なのは無事山を下りること。今回、特筆すべきことは初めて参加者もリピーターも下りでほとんど転ばなかったことです。えらい!えらい!これは、野麦キャンプへ何度もも参加する中で、また今回のキャンプの中での進歩の現れです。
本物のキャンプは毎回違って、すべて一回限りです(「一期一会」)。参加者が変わるだけでなく、フィールドの自然が「生き物」で常に変わっているからです。また、TVゲームやアムーズメントパークを違ってお金を出してその分期待したした効果が戻ってくるというものでもありません。自然はいろいろ(多様性)で、計算どおりには行きません(意外性)。だから、自然は面白い。野麦の自然はとっても面白い。今回のキャンプは、天候は期待はずれでしたが、新しい発見や学びがいっぱいありました。今回、川遊びで飛込みができなかった人、タヌキを見逃した人、峠まで歩き通せなかった人…、やり残ししたことがいろいろあると思います。でもそれがいいのです。またトライしましょう。次回チャレンジしましょう。また野麦で会いましょう! 高屋(良さん)記