自然体験がうまくゆくためには「天地人」がそろわなくてはなりません。とりわけネイチャースキーは自然条件に大きく左右されます。<人>:今回の『石徹白ネイチャースキー』は初参加の高校生のキャンプリーダーを除いて全員何回もネイチャースキーを経験しており、足はそろっています。初回以来の石徹白大杉到達が期待できます。ただし、<天>:天候のほうは年末寒波の到来の予報が出ていて、かなり厳しい。大杉コースからの変更を強いられるこよもも覚悟していました。<地>:自然条件でもありますが、積雪量、雪質は困難度だけでなく、危険度を左右します。
JR岐阜駅からの出発時は晴れて穏やかの天候でした。石徹白に向かう檜峠に近づくとさすがに積雪は増えてきましたは足もとは凍結してなくてスムーズに“カルヴィラ石徹白”に到着しました。
早速板(クロスカントリースキー)を着けて裏の森に入ります。みんなネイチャースキーには慣れているので、練習をする必要もありません。ネイチャースキー初体験の高校生A君はというと?とても初めてと思えないCXスキーのこなしでどんどん雪の林道を上っていきます。立派!いつも最終日(3日目)の午前に目指す森の展望台まで簡単にたどりついてしまいました。湿雪で硬い部分もある雪のもコンディションでしたが、登りも下りも簡単にクリアーしてしまい、今回はみんな足が強い!
夕方からはお目当ての「ムササビ観察」。この二三年出が悪いのですが今年は? 結局、講師の梶さん(梶浦敬一先生)が1匹の滑空を目撃しただけで、後は杉の木の上のほうに光る目が見えただけ。少し残念。しかしムササビが飛んだの確認できたのはさすが「野生動物に会える梶さん」!
夜は梶さんのプロジェクターを使った「岐阜市の動物」のお話。いつもものことながら先生の野生動物への探求心に感心させられ、身近な野生動物への関心をあらためて掻き立てられました。
2日目の朝、昨夜からの雪は心配していたほどではなく、空もそんなに暗くなく。梶さんいわく、「こりゃ大杉まで行けるぞ」。そんなに甘くはないと思いましたが、コースを変更するまでは条件が悪くなかったので、とりあえず行けるところまでということで、中居(ちゅうきょ)神社からスタート。今回、特筆すべきことですが、全員「足がそろっていた!」最後までみんなでまとまって進みました。途中の初河谷(はつごだに)出会いには昼前にたどり着き、さらに先を目指します。これで2番目に遠い到達地点をクリア。ついにも大杉登山口まで500mというとこまでやってきました。しかし、ついにここで「泣き」が入りました。「こうこれ以上歩くのはいやだ」 残念ですが、ここまで、ということで引き返し宣言。ところがそういった途端、ギブアップしたはずの子が再び進み始めました。そしてついに大杉登山口に到着!全員よく頑張りました。目標到達!しかし、ここで引き返すのはあまりにももったいない。疲れた子供と付添いの大人を残して大杉に向かいました。でもここからが、深雪との格闘。参加者の小学生2人は板をはずして四つん這いになって登っていきました。高校生と大人は意地でスキー板を履いたまま登りました。苦労の末ついに石徹白大杉到達!みんなすごい頑張りでした。とくに、両手両足を使っても上りきった小4女子、初めてのネイチャースキーで板を履いたまま大杉で登りきってしまった高2男子A、そして後期高齢者に近づいている梶さん、音を上げずに登りきりました。下りも板を履いたまま根性で降りてきました。やはり梶さんはスーパーGでした。帰りは新雪で板が滑らないこともあって中居神社の駐車場にたどり着いた時が真っ暗になていました。ライトをつけながら最後まで頑張ったご褒美は?夜の森に群れていたシカに大きな警戒音を鳴らされたこと。(これが次の日の鹿との出会いにつながります。)
最終日、普段は入らない「梶さんの鹿追いコース」を選びました。林道から滑り降りて、シカのトレール(雪の中を歩いた跡)をたどります。雪の森の中を気持ちよくどんどん進んでいきます。そしてついに梶さんの予想通り、前方の川の中にシカ発見!感動の出会いです。シカはずっとこちらを(シカトせず)見つめながら私たちと長い間対峙していました。最後はオスが先頭にたって隠れていた小鹿をつれて3頭でを渉って対岸に消えていきました。素晴らしいひと時でした。
やはり石徹白は動物が濃い(「地」)。雪が降ってシカたちが針葉樹の森に退避しました(「天」)。そして「野生動物に会える梶さん」のガイド(「人」)。すばらしい組み合わせと巡り合いに恵まれて、今回もかけがえのない体験をさせていただきました。石徹白の自然、梶浦先生ありがとうございました。
石徹白ネイチャースキー
2013.12.27-29