12年間続いた「野麦学舎」のキャンプもついに「学舎」が閉鎖され、上のキャンプ場野麦オートビレッジへの拠点変更を余儀なくされました。はたしてどうなることでしょう。
今年も、一番いい時期の夏休み入りすぐの7月には参加者が集まる保証がなく、8月初旬に4泊5日のキャンプを設定しました。しかし、予定していたグループの都合が悪くなり8月4日からの開催も危うくなりました。それでも、これまだの参加者からのつながりで何とか4名の申込みがありました。最少催行人数には満たない数ですが、新しい拠点のもとでのキャンプをまずは試行するという意味であえて実施ました。これまで協力してくれたすスタッフの助けを得て何とかやりきることが出来ました。
参加者は全員小学5年生ですが、リピーターの女子1名を除いて、残りの男子3名(仲良し組)は自然体験がほとんどなく、良かった点と問題点がはっきり出てきました。野麦キャンプかつ参加の3人の反応は大変わかりやすく、楽で気持ちのいいもの楽しかった、逆に不快で辛いものは嫌だ、というもの。そういう意味では、台風接近中の不安定な天候(毎日雨に降られた、期間中晴れ間はわずか2時間)のもとで予定していた川遊びが全部できたことはラッキーでした。とくに初めてフィールドに使ってみた集落のかみの谷川の川遊びでは2人の子どもがタモ網で見事イワナ(幼魚)を捕まえたのは参加者にとっていい体験になりました。乗鞍登山のほうは天候の問題もありましたが、条件が良くても初参加の子どもには予定通り行うのは厳しかったと思います。
キャンプ場でのキャンプはこれまでの「野麦学舎」(この後感想あり)と違ってとても快適でしたが、その分自然度が低く(それでも初日の散歩中のノウサギとの出会いはとても感動的でした)、野麦集落では次々出会えた面白い発見が少ないというのが残念なところでした。それを象徴するのが、次の出来事。恒例の夜の散歩、これまで毎回捕まえる(拾う)ことが出来たクワガタの収穫がゼロ。下の集落に移動してさがしても気配なし。キャンプ場の管理人の渉さんに報告すると、原因は照明がLEDに切り替わったためとのこと。これで夜の散歩の大きな楽しみがなくなってしまいました。
今回のキャンプを終えて振り返ると、時代状況もあってエヌエスネットが目指してきた長期キャンプのあり方が大きく崩れてきていることを実感させられます。その長期キャンプの狙いとは、「多様な異年齢集団のもと体験を共有するなかで参加者が協調性を身に着け自立していく」ことです。2週間ほどの長期キャンプではたまたま集まってできた異年齢集団の生活のなかで衝突、協力、挑戦、挫折などさまざま経験を通して問題解決能力を参加者の子どもたちが身につけていくができるのです。その前提として子どもたちが潜在的にもっている好奇心や冒険心が閉ざされてしまっていないこと必要です。かねがね、10歳前後での自然体験、生活体験がその人の一生の行動規範の土台を形作ると考えていてその考えは今も変わらないのですが、その前提となる感性の発現の可能性を確保するためには幼児期の自然体験がまず大切、というのが今の実感です。。
最後に <ノスタルジー>「野麦学舎はよかったな〜」
木造二階建ての旧小学校校舎。戸の立てつけは悪く、ガラスが割れた窓からは隙間風が。床の上には小虫死骸が散らばり、カメムシが歩き回る。トイレには便所コオロギ(カマドウマ)、開けっ放しの窓からはアブが入り込む、時にはきれいなチョウも。階段にはコウモリの糞が。こんな「宿舎」がほかにありますか!? 快適なキャンプ場のキャンプを経験してみて改めて実感しました。野麦学舎は自然の中にある(夜中にカモシカが歩いた跡がある、裏にはリスが食べたクルミの殻がいっぱいい、夜、校舎の窓からキツネが歩いていくのが見える、等)思っていましたが、「学舎の中に自然がある」のだと。だから、そこで1週間も過ごせば子どもたちの中に眠っていたカニ化が活性化させられるのだと。
2014 夏 の 野 麦 子 ど も 自 然 体 験 村
2014.8.4-.8