2009.12.27-29


 
  撮影 梶浦敬一氏

石徹白ネイチャースキ

  「エルニーニョの馬鹿野郎!」といいたいところですが、「神の子」にたいしてそんな暴言を吐くわけにもいかず、ひたすら雪が降るのを待つのみ。クリスマス寒波との予報もありましたが、これも空振り。『石徹白ネイチャースキー』の一行が到着した長良川鉄道の終点北濃駅は雪なし。雪道の登りを心配していましたが、それどころか峠でわずかな積雪。急遽計画を変更して、白鳥高原スキー場で初日の「歩くスキー」を行うことにしました。
 スキー場はわずかな雪を求めて集まったボーダーたちであふれていました。それでも隅っこの人が入っていない狭い雪の斜面を見つけてなんとか「歩くスキー」(クロスカントリースキーで雪の上を歩いて上って滑る)を体験することができました。この日はJRの列車故障事故の影響で、長良川鉄道への乗り継ぎがうまくいかず、2時間も遅れて幸先の悪きスタートになってしまいましたが、この雪のない状況の中で曲がりなりにもCXスキーで遊べたのはこれで良しとしないといけないところでしょうか。
 1日目の夜も期待していた雪が降らず、恒例の中居(チュウキョ)神社ムササビ観察も雪なしの境内でやることになりました(何とかムササビを見ることができてよかった)。メインプログラムの2日目のCXスキーを履いてのスノーハイク。大杉方面の道は雪なない。和田山方面は上のほうまで行けば雪は出てきますが、雪のない林道を長い時間スキー板を担いでは登らなければいけない。ピンチ。とにかく雪のフィールド探しです。夜明け前に和田山への林道を上って下見に出かけました。枝道に使える雪の斜面を見つけました。ここをフィールドとすることに決定。
 中居神社の駐車場からスタート。石徹白川の橋を越えると野生動物の気配が濃くなります。わずかに残った雪の上には動物の足跡がいっぱい。糞も見つかります。タヌキやキツネやシカが動き回っているのがわかり楽しくなります。20分ほど歩いてやっとポイントに着きました。林道奥の雪が残るちょっとした広場、滑れる距離もごくわずかですが、贅沢は言えません。参加者の大半がネイチャスキーの初体験者、初心者、転びまくりますが、笑い声にあふれて、みんな楽しんでくれてまずはよかった。やっとネイチャースキーができました。
 午後は中居神社から浄安杉の探索。境内でパイプから水が噴き出し、下ばえの枝に「氷の花」咲いているのを見つけました。子どもたちはつららや氷が大好き。家にお土産を持ち帰ろうとした子もいました(もちろん途中で融けてしまいましたが)。浄安杉までは雪のない探索路で楽にたどりつきました。浄安杉でパワーをもらった後、昼食(といっても行動食として用意したカロリーメイト。参加者の皆さん、おにぎりでなくてごめんなさい。)
 夜は“カルヴィラいとしろ”の裏の森でナイトハイク。ライトをつけず、手作りのキャンドルトーチでろうそくの灯かりに照らされた夜の闇を楽しみました。
 最終日夜明け前、除雪車の音で目を覚ますと、駐車場は一面の雪になっていました。ほとんど諦めていましたが、待望の積雪です。これでネイチャースキーができる!
 さっそくCXスキーの板を付け森の中に入ります。ふわふわに新雪が積もった林道(作業道)を歩いていきます。森の広場に着きました。今年からジップライン等のアウトドア遊びの施設ができ、少し自然度は下がりましたが、いつものネイチャースキーのフィールドは健在です。子どもたちは登っては滑るを繰り返し楽しみました。 滑って楽しい!転んでも楽しい!これぞネイチャ−スキーです!この後、ゴールの展望台を目指しました。(結果、これが判断ミスで大幅に予定時間をオーバーすることになってしまいました。)展望台からの下り、途中雪の少ないところもあり苦労しましたが、何とか戻ってきました。
 今回、ネイチャースキーをやるのには最悪に近い条件でしたが、それに引き替え、参加者、スタッフは最高のメンバーが集まりました。参加者は日帰りのネイチャースキーの人もいましたが、半分以上が初体験。低学年の子どもも多く心配しましたが、みんな前向きで、山道の登りや板を付けての雪道の登りにも不満や泣き言和一切出ませんでした。ネイチャースキーを思う存分楽しむ姿勢を象徴するのが「転ぶのが楽しかった」。うれしい言葉です。ただ、前向きな子供たちの姿勢に甘えて判断を誤り、結果、足を痛める子どもを出してしまったは指導者として大きな反省点です。
 恵まれない条件の中でも、参加者の子どもたちはいろいろな貴重な体験をしたと思いますが、スタッフ、指導者も参加者から「学び」の体験の機会をもらい、私自身、子どもとの自然体験の意味を改めて考えることができました。冬の石徹白は毎回楽しく雪の自然を深く体験する機会を与えるくれます。今回も『石徹白ネイチャースキー』にかかわったすべての人と石徹白の自然に感謝です。

 12/27  
 今夜のムササビ観察に先駆けて
明建神社にて
北濃到着
まったく雪がない大丈夫か!? 
雪を求めてスキー場に入り込む  猫の額のような狭いエリアで歩くスキーの練習 何とか人が入っていない斜面を見つけて上る 
 
まともに滑れる斜面はない 
それでもチャレンジ
無理無理雪の上を歩いて上って滑ることはできた 
<ネイチャースキー>がしたい!
暗くなった中居神社でムササビ観察
飛んだ! 
梶さんの動物の話
日本にいたゾウの化石に興味津々
ムササビの滑空写真 
うまくすればこんな風に見えるんだ
12/28   
何かの糞発見!
雪の上は痕跡がいっぱい 
糞採れらし合わせるとこれはキツネの足跡  やっと森の中の雪の斜面にたどり着いた  狭い斜面ながら楽しいネイチャースキー!  雪のない中居神社 
 
思いがけない霧氷の大喜びの子どもたち  浄土杉にたどり着いた
大きい! 
アルミホイルとろうそくでキャンドルトーチをつくる  キャンドルトーチをもって森の中のナイトウォーク  暖炉でマシュマロ焼き 
12/29   
待望の雪が降った
さあ、CXの板を付けて森の中に入ろう! 
ふわふわの新雪の雪の上を歩く  昨日仕掛けたよせ餌のから揚げにはキツネが来ていた!?  朝日のさしこむ森の広場の斜面を登る  パウダースノーの滑降
滑って楽しい!
転んでも楽しい!
 
新雪の朝の森の中を歩くのは気持ちがいい  ネイチャースキーが初めての小1の子もがんばって上ってきます  ゴールの展望台は間近
頑張って! 
展望台のお立ち台に立つ  (苦労もしたけど)楽しく滑って下りてきた 


石徹白ネイチャースキー

2015.12.27-29