この夏はエルニーニョの影響で異常な暑さが続いていますが、野麦は別天地。若干天候が不安定なところもありましたが、快適なキャンプになりました。
拠点となる野麦オートビレッジに着くと、早速の川遊び。源流の川で水温は12℃、身を切る冷たさ。それでも5人の小学6年生は両側のやぶをかき分けてさかのぼっていきます(一人で参加した小学1年生も負けていません)。ここでのおめあてはたも網でのイワナとり。魚影は見えるものの捕まえるのは子どもたちにはなかなか難しい。結局一人だけイワナを捕まえることができ。本人は大喜びでした。(ほかの子は残念!またチャレンジしましょう)かれはサンショウオも捕まえ大満足。こんな小さな川にも魚や両生類はすんでいるは驚きですね。夜は途中から合流した講師の梶さん(梶浦敬一先生)の動物のお話し。「動物との出会いは人との出会い」 野生動物の写真、動画からいっぱい感動をもらいました。
2日目午前は恒例の「鉄塔の森」の自然観察。その前に神社寄って前日の夕方仕掛けた自動センサーカメラを見に行きましたが、残念ながら空振りでした。森の中のフィールドサイン探しはリスの食痕、テンやアナグマ?の糞、イノシシの掘り返した跡など興味深いものがいろいろ見つかりました。計画していた石膏を使った動物の足跡とりはきれいな足跡がなく、できませんでした。今年の夏の野麦は心なしかどうぶつのけはいがうすいような気がしました。
午後からは上(かみ)の川に遊びに。相変わらずの水の冷たさですが、子どもたちは競うようにして岸から飛び込んで泳ぎます。体が冷えた後は、河原の石をつんでダムづくり。少年はこういうのが大好きなんですね。
3日目はメインの野麦峠へのハイキング。野麦集落のはずれから歩き出します。今回の参加者は1年生も含めて足が強い。ハイキングといってもほとんど登山。それでも、みんな不満を言わず登っていきます。暦の上ではもう秋でいろいろなキノコが出ていました。キイチゴやヤマブドウ、サルナシの実(どちらもまだ未熟)を食べてみました(野の恵みを食べることは五感を働かす自然体験活動のひとつの基本です)。快調なペースで地蔵堂に到着し、余裕を残して野麦峠の頂上(最高点)に着きました。山に囲まれた展望の中で食べるお弁当は格別です!
午後からプログラムは<どうぶつしょうぎ>づくり。林の中から適当な木を切り出し、それを輪切りにして駒の材料にします。今回は沢の周りに生えているウリハダカエデ。樹皮の模様がきれいな木ですが、水っぽくてノコギリの歯が引っ掛かるような感じで切りにくい。これも子どもたちがノコギリを手にすることによって木の素材を実感できる貴重な自然体験のひとつです。みんな頑張って駒の材料を作り、それに好きな絵をつけていきます。将棋の王、角、飛車、歩とその裏の金の5種類のデザインを自分で考えていきますが、今回はゲームのキャラクターが多く、「自然度」が低かったわけですが、これもしょうがないでしょう。
最終日前日、午前に軽く神立原まで軽くハイキング(といってもちょっとした登り)。以前歩いた時には生々しいクマの糞やクマが地バチの巣を襲った跡がありなかなかワイルドでしたが、今回はカケスの羽が散乱していた(猛禽類に襲われた?)のを見つけたほかは野生動物の気配はなく静かな山歩きになりました。前日の疲れが残っているといいながら、みんな元気にキャンプ場まで戻ってきました。改めて今回の参加者は足が強い。特に6年生5人のうち2人は野麦集落からキャンプ場まで歩いて帰ってきているので、中部北陸自然歩道の野麦峠〜神立原を踏破したことになります。大したもんです。
そしてメインイベントのキャンプファイヤー。今回自然への関心は今一つ低かった6年生たちも俄然やる気を示しました。前日からの出し物の話し合いでオリジナルの劇を考え、しっかり本番に臨みました。キャンプ場のお客さん3名(これですべて)をギャラリーに迎え大いに盛り上がりました。最後は経験者2名による「火の舞」(2本のトーチ振りかざしていろいろな技を繰り広げる)でフィナーレとなりました。思い出に残るキャンプの夜になりました。
今回は虫嫌い(少しはなれたという子もいましたが)が多く、自然への踏み込み不足のきらいがあります(昆虫がいなければ…イワナは生息できません。鳥も生きていけません。キイチゴものブドウも実をつけることができません)。昆虫も自然の不思議さ、面白さを代表する生き物です。そのあたりの生物嫌いをなくすには幼児期の自然体験が大切なのかもしれません。今回エヌエスネットのキャンプ初参加の3人を含めた小学6年生の5人は全員野山を歩き回る体力があります。その能力を生かしてこの先どんどん自然の中で遊んでほしい。そのことが一人一人の中にある潜在能力を引き出すことにつながると考えます。その点、小学一年生の参加者は、当然各プログラムの狙いは理解できないものの、歩く力と旺盛な好奇心にあふれていました。これからが楽しみです。。
2016 夏 の 野 麦 子 ど も 自 然 体 験 村
2016.8.22-.26