ウサギとテン

 1月の初め、石徹白で冬の自然体験をやってきましたが、下見で林道をスキーをつけ歩ていたとき、驚くべき出会いを体験しました。前方にいきなりウサギが姿をあらわしました。雪山は数え切れないほど歩いていますが、出会ったのは3度目です。前のときは跳びはねてあっという間に姿をくらましてしまいました。今回はこちらに気づいていないようなので慌ててカメラを構えました。なんとかうまく撮れますように……。ところが……、あろうことかこちらに向かってかけてくるではありませんか。まるで飼い主の姿を見つけて大喜びの子犬のように。目が点になりながらもシャッターを切りました。ウサギは私の存在を無視して、私の足元を駆け抜けていきました。予想もしない出来事に少し混乱しながらも幸運な出会いに興奮していました。そして前方を見ると、黄色い動物がかけながら近づいてくるではありませんか。今度はテンです。テンはいきなり(ずっと気づいていなかった)人間に出会って一瞬狼狽の色を見せましたが、慌てての山ほうに逃げていきました。こんなことってあるの?ところが……。
 2日後、自然体験の講師にお呼びした地元猟師さんの話。そういうことはある、自分も2,3度経験しているとのこと。さすが動物で飯を食っているプロ。「本物の自然体験!」。そういう時猟師はどうするのか……。答えは、ウサギのほうは見逃して、追っかけてきたテンをしとめる。テンのほうが金になるから。当然のことながら自然観察としているわれわれとは目の付け所が違いますね。それにしても石徹白は野性動物が濃いと実感しました。